Chocolate Lily
「太宰さん、とりあえず現場の観察してもいいですか?」
「ああ」
鑑識の邪魔にならないよう慎重に二人は移動し、あちこちを観察する。美麗は店の中を、順一は遺体をもう一度観察した。
「ん?この花は……」
歩美の手に花が握られている。その手にあったのは、二輪の花だった。一輪は黒い百合でもう一輪は紫陽花である。死ぬ間際に彼女が咄嗟に掴んだものなのか、それともーーー。
「太宰さん!」
店の奥から美麗が順一を呼ぶ。順一が美麗のところへ行くと、彼女は飾られた写真を指差した。
「この人、牧さんの恋人じゃないですか?」
そこにあった写真には、左手の薬指にダイヤモンドのついた指輪をはめた歩美と、彼女の肩を抱き寄せて笑う男性が写っていた。
捜査は思ったよりも順調に進んでいった。殺人事件とは思えないほど、証言などが集まっていく。
「たまに恋人の方かしら?よくあの花屋を訪れて、牧さんと喧嘩してたみたい」
「怒鳴り声や泣き声がお店の方から聞こえてきて、びっくりしたな。彼氏さんがすごく怖い顔で店から出てきたし」
「ああ」
鑑識の邪魔にならないよう慎重に二人は移動し、あちこちを観察する。美麗は店の中を、順一は遺体をもう一度観察した。
「ん?この花は……」
歩美の手に花が握られている。その手にあったのは、二輪の花だった。一輪は黒い百合でもう一輪は紫陽花である。死ぬ間際に彼女が咄嗟に掴んだものなのか、それともーーー。
「太宰さん!」
店の奥から美麗が順一を呼ぶ。順一が美麗のところへ行くと、彼女は飾られた写真を指差した。
「この人、牧さんの恋人じゃないですか?」
そこにあった写真には、左手の薬指にダイヤモンドのついた指輪をはめた歩美と、彼女の肩を抱き寄せて笑う男性が写っていた。
捜査は思ったよりも順調に進んでいった。殺人事件とは思えないほど、証言などが集まっていく。
「たまに恋人の方かしら?よくあの花屋を訪れて、牧さんと喧嘩してたみたい」
「怒鳴り声や泣き声がお店の方から聞こえてきて、びっくりしたな。彼氏さんがすごく怖い顔で店から出てきたし」