Chocolate Lily
「私、応援を呼びます!」

美麗はそう言い、走りながら近くで聞き込みをしている他の捜査員に直人が逃げており、自分たちが追っていることを話す。数分もすれば、すぐに応援の捜査員は駆け付けるだろう。

数十分もの鬼ごっこの末、直人は崖を背に向けて立つ。肩は大きく上下に揺れ、額には大粒の汗が浮かんでいた。それを、順一と美麗は見つめる。

「観念しなさい、守屋直人!逃げたということはやっぱりあなたが犯人なのね!」

美麗が懐から手錠を取り出し、大声で言う。手錠を見た直人は顔を真っ青にし、「違うんです!!」と首を大きく横に振った。

「僕は、僕は歩美を殺してなんかいません!!」

「じゃあどうして逃げたのよ?」

「それは……あなたが、明らかに「疑ってます」って顔をしてて、警察署で話を聞くとか言ったからです。警察署に連れて行かれたら、そのまま拘置所に入れられるんじゃないかと思って、気が動転して……それで……」
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