誓い~お前は俺が守る~
学校に着き、教室に入る。

「おはよー」
「おはよう!」

「すずー、おはよー!」

「おはよう!久実(くみ)ちゃん!」
友人の久実が、駆け寄ってくる。

「すず、見て~
これ、ヤバくない?」
久実が、リップを見せてくる。

「え?これ、◯◯のリップ!?」

「そうなの~
彼がプレゼントしてくれて!」

「へぇー!いいなぁ~!
綺麗ね!」

「でしょ~?」

「…………すず、欲しいの?」
後ろから抱き締めるようにして顔を覗き込む、天馬。

「え?」
「早く言えよ。
今日、買いに行こうぜ」

「へ!?ダメだよ!」
「なんで?」

「お誕生日でもないのに、ダメ!」

「誕生日でなくても、いいじゃん!
俺が買ってやりてぇんだし」

「でも、ダメ!
ピアスだって買ってくれたでしょ?」

「すずだって、これプレゼントしてくれたじゃん!」
天馬が、自身の左耳のピアスを見せて言う。

「それは!天くん達、いつも色々守ってくれるから。
そのお返しなの!」

「……………ほんっと、すずは頑固だよなぁー(笑)
もっと甘えろよ」

「え?甘えてるよ?」

「そうか?
だとしたら、すず以外の女は甘えすぎだな(笑)」
「え?」

「そのくらい、すずは俺を頼らない」

「え?そんなこと…ないよ?」

「だってすずは、いつだって……
夏馬さんを頼ってる」

「………」
天馬の切ない真っ直ぐな視線。
鈴蘭は、何も言えなかった。



「━━━━気にしないの!!」
体育の授業で、更衣室で着替えながら鈴蘭に声をかける久実。

「うん…」

「てゆーか!
そりゃあ、お兄さんを頼るんじゃない?
たった二人の家族なんだから!」

「うん」

「天馬くんは、彼氏!
でも、お兄さんは家族!
ほら!全然違うよ?」

「でも天くんとの時間は、家族みたいなものだよ?
大切なのは、時間だから!」

「すず…」

「……って、お父さんの受け売りなんだけど(笑)」


そして運動場に出た、鈴蘭達女子。

体育は、学年の男女別。
今日は女子は運動場、男子が体育館を使って授業をするのだ。

「暑くない?」
「暑いね…」

「なんで男子が体育館なのー」
「だよねー」
「私、日焼け止め塗ってないのにぃー」

みんな、口々に文句を言っていた。

「先生ー、暑いー」

「文句言うな!
今日は、50mのタイムを計るから!」
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