誓い~お前は俺が守る~
それはまさに“悪魔”
「━━━━郷部さん、戻ろ?
天くんが寂しがるし(笑)」
その頃━━━━用を済ませ、鈴蘭は天馬達の所へ戻ろうとしていた。


「あ、それは無理かな?」

「え?」

「宇佐神さんが行くと、金司の皆さんの邪魔になるし」

「え……何…言って…るの?」

「ごめんね、宇佐神さん。
私、真司の彼女なの」

「金城くんの?」

「うん」

「え?え?でも、にぃにが帰ってもらったって……」

「ほら、神馬のたまり場をぼろぼろにしたでしょ?
その事が真司の親にバレて、真司二度と家から出してもらえなくなったの」

「え?話が、見えない…」

「だからぁ!!
━━━━━━━━━」
郷部に話を聞いて、愕然とする鈴蘭。

「そんな……ことって……」
項垂れる鈴蘭。

「てか、宇佐神さんが悪いんだよ?
早く“影のリーダー”呼んでいれば、こんなことにはならなかったのに頑なに呼んでくれないから!」

「…………郷部さん」
項垂れたまま、鈴蘭が言った。

「ん?」

「戻ろ?」

「は?だから!!」

「呼んであげるから」

「え?」

「会いたいんだよね?
影のリーダー」
そして、郷部を見据えた。

「え………」
明らかに、鈴蘭の纏う雰囲気が変わった━━━━━━


鈴蘭と郷部が天馬達の所に戻ると、神馬と金司が喧嘩していた。

「早く!会わせろ、よ!!」

「はぁぁ!!?だからぁ!会わせねぇ、よ!!」


「わー、凄いねー」
郷部が、少し楽しそうに言った。

「ふぅー
………………」
鈴蘭が息を吐き、ゆっくり目を閉じる。

「宇佐神さん、見てー!
━━━━━━え?宇佐神……さ…ん…?」
郷部は、寒気がしていた。
鳥肌が立ち、身体がガタガタ震える。

鈴蘭が、ゆっくり目を開ける。

「え……何…こ、れ……?」

つき先程までの鈴蘭の包んでいた優しく甘い雰囲気が………


黒く、重く落ちていた。

郷部は、圧迫されたように息苦しくなる。



「……ったく…また、俺のすずを傷つけやがって」

「え?宇佐神さん?」
話しているのは、紛れもなく“鈴蘭”

でも、全くの別人のような鈴蘭がいた。

「あ?おめぇも、俺に会いたかったんだろ?」
不気味に笑う、鈴蘭。

「え?え?だ、誰…?」

「俺は、うーん…そうだな。
“黒すず”って呼ばれてる。
あー、言っておく」

「え?」

「今から、ここにいる金司の連中は殺るから。
墓の用意でもしとけよ」


そう言って“鈴蘭”は、天馬達の元へ向かった。
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