誓い~お前は俺が守る~
呼び出し音が鳴り響く。

「あ!ど、どうしよう……」

切る?
いやいや、電話をかけておいて切るのは失礼だ。

すると、天馬が電話に出た。
『━━━━もしもし?すず?
良かった!
まだ寝てるかと思って、電話来んの待ってたんだ』

天馬の優しい声色。
鈴蘭は、何故か目が熱くなり潤み出した。

『もしもーし?すずー?』

「……っ…天くん!!」

『良かった!
いつものすずだ!
大丈夫か?
体調は?』

「大丈夫だよ」

『ん。良かった!』

「天くん、ごめんね」

『ん?なんで謝んの?』

「彼を、呼んじゃったから……」

『ううん。すずはなんも悪くねぇよ!』

「ほんと?怒ってない?」

『怒ってねぇよ』

「嫌いになってない?」

『嫌いになるわけない』

「良かっ…た…」

『………』
ホッとしたように呟く鈴蘭に、天馬が突然黙る。

「ん?天くん?」

『………んー、クソ!!
今すぐそっちに行って、すずを抱き締めてぇー!』

「へ?」

『そしたらすずは安心するだろ?
抱き締めて“大丈夫”って言ってやりてぇ……!』

「フフ…ありがとう!
その気持ちだけで十分だよ!」

鈴蘭は終始、泣きながら笑っていた。


それから、夏馬と夕食中。
「━━━━すず」

「ん?」

「次から“リーダー”を呼べって言われたら、俺を呼べ」

「え?にぃにを?」

「あぁ。俺が影のリーダーってことにしろ」
夏馬の真っ直ぐな視線に、鈴蘭はゆっくり首を横に振った。

「でもそれじゃ…にぃにが傷つく。
だから嫌だ」

「すず」
「やだ」

「すず!」
「やだ!」

「………」
「………」

「……ったく…相変わらず、頑固だな(笑)」

「頑固だよ。
それに、むやみに呼んだりしない。
だから大丈夫!」

「………わかった」
息をつき、夏馬は呟いた。


“すず。
すずは、俺が守るよ……!”

『あ…まただ……』

“だから安心して、俺に全てを委ねて……!”

『パパ?
待って━━━━━!!』



「━━━━━っあ!!?
はぁはぁ…また、夢か………」

ガバッと起き上がり、肩で息をする。


「なんで、あんな悲しそうなんだろ………」

何故か夢の中の声は、いつも悲しそうだ。

鈴蘭は、スッキリさせるためにシャワーを浴びに風呂場に向かった。
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