誓い~お前は俺が守る~
そしてその日の授業の間の休憩時間に、トイレに行きそのまま郷部のクラスに寄った鈴蘭。

教室のドア付近にいた生徒に、声をかけた。
「あ、ねぇ!
郷部さん、いるかな?」

「え……あ…」
女子生徒の目が泳ぐ。

「ん?どうしたの?」

「そ、それがね……」
「うん」

「昨日から、家に帰ってきてないらしいの…
さっき、先生達が話してるの聞いちゃって…」

「え……う、嘘……」
思いもよらない言葉に鈴蘭はふらつき、身体を壁に打ちつけた。

「ちょっ…大丈夫!?」

「あ…うん…ごめんね。
大丈夫…」

「保健室行く?」
女子生徒が鈴蘭を支え、背中をさする。

「ううん。
大丈夫だよ。
ちょっと、びっくりしちゃって……」

「だよね…
郷部さん。金司の総長と付き合ってたらしくて、かなり悪いことしてたらしいの。
万引きとか、かつあげとか…
あんな真面目そうなのに、意外だよね……」

「そう…なんだ……」
(私の、せいだよね……
……………ヤバい、頭痛い…!)
鈴蘭は、頭を押さえた。

「え……宇佐神さん!?ほんと大丈夫!?」
「やっぱ、保健室行こ!」

「……っ…」

“すず……!”

鈴蘭の頭に、鈴馬の声が響く。

「宇佐神さん!?」
「立てる!?」


そこに、突き刺すような声が響いた。

「おい!何やって━━━━━━すず!!!?」
天馬が駆けつけてきた。

「あ、八乙女くん!」
「なんか突然、頭を押さえて………」

「すず!!すず!!
大丈夫か!!?」

「……っ…離せ…」

「え……す、ず……?
お前……」
天馬は、鈴蘭を抱き上げた。

「え!?八乙女くん!!?」

そしてそのまま、校舎を出た。
校舎裏の木陰に鈴蘭を下ろす。

「すず!!」
鈴蘭は、ぐったりして意識を失っていた。

天馬は、鈴蘭の頬を軽く叩く。
「すず!すず!」

「んん…天…く……」
「すず!?」

「天くん…」
「良かっ…た…」

「天くん!」
天馬に抱きつく。
天馬も鈴蘭を抱き締め、背中をさすった。

「さっき……
“あいつ”が出てきたからびっくりした……」

「うん。
郷部さんのこと聞いたら、頭が痛くなって……」
「そっか…
今は?
頭、大丈夫?」

「うん…」
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