誓い~お前は俺が守る~
「━━━━━━鈴蘭ちゃん、こんにちは!」

「こんにちは!浦川(うらかわ)先生!」
「お疲れ」

鈴蘭の担当医、浦川。
夏馬の同級生の女だ。

「最近は、どう?」

「はい。
えーと……何度か“彼が”出てきて…」

「そう。
でも、鈴蘭ちゃんは今、コントロール出来るでしょ?」

「それが……」

「出来なくなった?
それとも、何か不安な事がある?」

「にぃににも話してないんだけど……」

「ん?なんだ?天?」

「ううん。
最近よく、パパの夢を見るの」

「父さんの?」
「そう。
“お父様の夢を”ね……」

「あと“彼が”出てくる時、パパの声が聞こえるんです。
もちろん、にぃにや天くん達を悲しませたくないので、呼ばないようにしてます。
でもどこかで、パパの声を聞きたいと思ってしまうんです」

鈴蘭の言葉に、夏馬と浦川は顔を見合せた。
そして、目で合図をする。

「…………わかったわ!
とりあえず、今まで通り様子をみましょう。
鈴蘭ちゃんは、先に出てて?
夏馬と少し話があるから」

「はい。
ありがとうございました!」


鈴蘭が診察室を出ていき、夏馬を見据える浦川。

「鈴蘭ちゃん、少しずつ“真実”に向かってるみたいね」

「あぁ、その事なんだが……」

「ん?」

「すずが、天と結婚したいって言い出した」

「………そう。まぁ、そうでしょうね。
好きなんだから!」

「俺は、そんなの絶対認めない。
あいつは……天は━━━━━」

「じゃあ、本当のことを話す?」

「どう思う?
すずは、それで壊れないか?」

「その時は、夏馬が支えればいいわ。
どっちにしても、いつかは真実は知るべき。
“彼”はその真実のせいで、鈴蘭ちゃんに宿ったようなもの。
“彼”を消すには、鈴蘭ちゃん自身が克服しないと!」

「そうだな」

「てか!夏馬」

「あ?」

「どうして、受け入れたの?」

「は?」

「彼等のこと。
元々、貴方が彼等を神馬に受け入れたから、鈴蘭ちゃんは天馬くんに惚れて、交際して、結婚したいと言い出したんじゃない?」

「まさか“あの時の”ガキだと思わなかったんだ。
知ったのが、遅かったんだ……
でもなんで、天なんだ?
あんな死神……」

「夏馬」

「なんだ?」

「鈴蘭ちゃんを天使だなんて思わない方がいいわよ?
貴方、典型的なシスコンだから気づかないだけで、あの子こそ………悪魔よ?
それは、忘れないで!」

「は?」

「鈴蘭ちゃんの中にいる“彼”は、おそらく貴方達のお父様。
鈴蘭ちゃんにとっての、一番大切な人。
亡くなったことを受け止められなくて、鈴蘭ちゃんは自分の中に“宇佐神 鈴馬”を作り出したの。
だからね。
今、大切な天馬くんを手に入れられないと思った時、あの子がどうでるかわからない。
だから、気をつけて!」

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