誓い~お前は俺が守る~
「━━━━にぃに」
「ん?」

帰りの車内。
運転する夏馬を見て、声をかける。

「にぃには、彼女さんとかいないの?」

「は?
どうした?急に」

「にぃに、モテモテでしょ?
なのに、そんな話聞いたことない」

「そうだな。
そんな奴はいらない。
俺は、すずがいればいい」

「そんなこと言わないで?
私は、天くんと━━━━━」

「だから!認めないって言ったろ?」

「だったら、理由を教えて!
私だって、納得できない!」

「天は、お前を“傷つける”」

「そんなことないもん!
天くん、いつも守ってくれるもん!
傍にいて癒してくれるし、支えてくれるし」


「それは、すずも天も……真実を知らないからだ」


「真実?」

「あぁ。
もし、それを知っても二人が結婚したいってなら、俺も考える。
でも、きっと……無理だ。お前等には」


もう、何も言い返せなかった。

夏馬があまりにも、苦しそうで……


鈴蘭は、天馬にメッセージを送った。

【天くん、会いたい】

天馬は、すぐに会いに来た。

「天くん!!」
「すず!」

抱きつく鈴蘭を、天馬も抱き締めた。

「天くん、好き!」
「フフ…俺も!
通院、どうだった?」

「うん。特に変わりないよ」
「そっか!良かった!
たまり場、行こうぜ!」

たまり場に行くと、知らない女子がいた。

「すず、こいつは俺のいとこ。
茅野(かやの)
しばらく、八乙女家にいる。
学校は違うんだが、仲良くしてやってよ!」

「茅野です!
すずちゃん、宜しくね!」

「うん!」

一緒に住むんだ。
いいなぁー!

この時は、そんな程度の気持ちだった。
“天くんと一緒に住めるなんていいなぁ”と言う程度のちょっとしたヤキモチ。

しかし日に日にそれは、鈴蘭の中に言葉にならない“嫉妬心”を生むようになっていった。

「━━━━天馬、もうそろそろ帰んなきゃ、おばさんがまた怒るんじゃない?」

「━━━━天馬、今日は私が夜ご飯作っといてあげたから!」

「天馬、帰ろ?」


天馬、天馬、天馬…………


鈴蘭は、頭がおかしくなりそうだった。
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