誓い~お前は俺が守る~
“よく思い出して!
誰がいつも傍で守ってくれて、すずは誰をいつも見つめてたか………!”

最後、久実が言った言葉だ。
鈴蘭は、右耳の羽のピアスに触れた。


『━━━━━すず!俺の彼女になって?』

四年前。
天馬に告白された時のことが蘇った。

夏馬に、大反対された交際。

『お前みたいなガキに、すずは渡さない!
どうしても欲しいなら、そうだなぁー
あ!神馬のリーダーになってみろよ!
そしたら、認めてやるよ!』

夏馬自身が作ったチームのリーダー。
なので、リーダーは夏馬が認めた人間だ。

案の定、いつになっても勝てない。

天馬自身も、喧嘩には自信があった。
なのに、勝てない。

最初の頃は、リーダーと戦う前にメンバーの男達にやられていた。

『天!もうやめとけよ!
どうせ、勝てねぇんだからさ!』
当時幹部だった、貴哉にも何度諭されたことか。

『天くん、もういいよ…
私が、にぃにを説得するから!』
ぼろぼろになぶられ、傷だらけの天馬。
鈴蘭も見ていられなくなる。

『いや…絶対諦めねぇ!!
だって、すずのことを守れるのは“俺だけがいい”
俺は、すずとずっと一緒にいたいと思ってる。
だから、すずが夏馬さんに頼らなくていいように強くなりてぇんだ!』

そう言って何度も何度も戦い、高校一年の夏。

『━━━━━はぁはぁ…負けたよ、天』

『おっしゃぁぁぁーーー!!!
勝てたぁぁぁーーーー!!!!』

神馬のリーダーになったのだ。

その後から天馬は“これからは俺がすずを守るから”と、いつも傍で守ってくれた。

テストが上手くいかなくて落ち込んだ時も、久実と喧嘩して落ち込んでいた時も、黒すずを呼んでぼろぼろになり目を覚ました時もいつも傍に天馬がいた。

毎日送り迎えをしてくれ、歩いてる時も、電車内でも、学校内でも……隣には天馬がいた。


「天くん……天くん……」

天馬の顔を思い出す。

“天くん!”と呼ぶと、嬉しそうに笑う顔。

鈴蘭の変化にいち早く気づいてくれ、窺うように微笑んでいる顔。

毎晩の電話。

“会いたい”と言うと、何処にいても駆けつけてくれる。

鈴蘭は思う。

あぁ、私は……こんなに天くんに愛され、守られていたんだ、と。
なのに、天くんからの話を聞かず振り払ってしまった。


「天くん…ごめんね!ごめんね!」
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