誓い~お前は俺が守る~
次の日の夕方。

鈴蘭は、神馬のたまり場にいた。
ドアを開ける前、深呼吸をする。

「━━━あれ?すずちゃん!?」

「え……あ…陶史くん……!」

「来てくれたんだ!
みんないるよ!」
嬉しそうに笑い、中に入れようとする陶史。


「あ、いいの!
ちょっと、顔見に来ただけだから!」

「は?なんで?
天達、会いたがってるんだよ?
でもほら!天達からは会いに行けないから……」

「………」

「来てよ!
また、みんなで遊ぼうよ!!
詳しいことは、わかんないけど……
すずちゃんは、俺達の天使なんだから!」

陶史と一緒に、中に入る。

「天!浬人!スグル!
すずちゃん来てくれたよ!!!」

天馬達に呼びかける。

「………すず!!!?」
「「すず!!」」

驚いたように目を見開き、切なく微笑む天馬達。

駆けつけ鈴蘭を抱き締めたい衝動を抑え、必死に耐えていた。

「話、聞きたくて……」
ポツリと鈴蘭が言うと、天馬達はゆっくり頷いた。


天馬達と、鈴蘭がソファに対当する。
天馬がゆっくり口を開いた。

「俺達、おっさん……あ、いや…すずの親父さんにほんと世話になったんだ」
「僕達を真っ直ぐ見て、話を聞いて、その上で叱ってくれたのはすずの親父さんだけだった」
「“怒る”んじゃなくて“叱る”
あの人は、いつも一生懸命ぶつかってきてくれたんだ」

「うん。私の自慢のパパだよ!」

「………あの日。
すずが信じてくれるかわからねぇけど、俺達は“おっさんを守りたかったんだ”
だから、男に向かってったんだ」

「え?」

「ずっと、考えてた。
俺達を救ってくれたおっさんに、何か出来ねぇかなって!」
「僕達、あの人のこと何も知らなかった。
名前も、何処に住んでたかも、何をしてる人かも」
「それでも、何か出来ることあんじゃねぇかって考えてた矢先だったんだ」

「男の狙いは、俺達みたいなガキ」
「だから、おっさんは絶対に傷つけられない」
「だったら、俺達が囮になろうって!」

「俺達は、おっさんのためなら死んでもいいって思ってた」
「だから、向かってった」
「それで男の気が済むならって!」


「でも……ナイフを振り上げた瞬間に、おっさんが…………
俺達を庇うように、盾になったんだ………!」

話をしながら、天馬達の目は潤んでいた。

鈴蘭も、つられるように目を潤ませていた。
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