ねえ、私と恋しませんか?
サトミは俺がだらしなくても、何度浮気しても、どんなに怒ってても最終的には許してくれていた。でもこれは長期戦になりそうだ。

「花やケーキでご機嫌を取れる段階じゃないよな……」

ちょっとした揉め事なら、大抵花やケーキを渡せばサトミは機嫌を直してくれていた。でもあれだけ怒っていると、ちょっと謝っただけじゃダメだろう。

作戦を練るか、そう思い俺はとある場所へ向かった。



落ち着いたジャズが流れ、お金持ちそうな人たちが集まっているバーのカウンターで、俺は一人カクテルを飲みながらどうやったらサトミの機嫌が直るのか考えていた。

(サプライズで旅行に連れて行ってあげるとか?でも、サトミの仕事って勤務が日勤とか準夜とか、日によってバラバラすぎていつ休みなのかわかんねぇんだよな。勝手に予約したら怒られるだろうし……。高級イタリアンからフレンチに連れて行くとか?)

カクテルに使われる蒸留酒のアルコールで脳が溶けてしまいそうなほどふわふわする。こういう時ってぶっ飛んだことを思い付くことが多いから、行き詰まったらここに来るようにしてるんだ。
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