ねえ、私と恋しませんか?
(どうせなら、県内じゃなくて県外のおしゃれなところがいいよな。どんな店があるんだろ)

スマホを取り出し、サトミを連れて行く予定のレストランの候補を探す。フレンチやイタリアンのおしゃれなお店は探すと結構色々あって、ドレスコードがいらない店も少なくない。

(おっ、ここよさそうだな)

あるレストランのレビューなどを見て俺がそう思っていた刹那、「お隣、いいですか?」とソプラノの声が聞こえてきた。

「えっ……」

スマホから顔を上げた俺は、ドキッと胸が高鳴るのを感じた。そこにいたのは、サトミや新人モデルや女優なんて比べ物にならないくらいの美人だった。

腰ほどまで伸びた艶やかな黒髪に、雪のように真っ白な肌。口元と首にできたホクロがセクシーで、赤い派手なワンピースを着こなしている。

「お隣、いいですか?」

女性はニコリと笑って、もう一度俺に言う。こんな美人に頼まれて、断れるわけないだろ!俺は何度も首を縦に振った。
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