ねえ、私と恋しませんか？

「ぜひ、座ってください！」

「ありがとうございます」

女性は上品に笑って俺の隣に座る。そして、バーカウンターの中にいたバーテンダーに「マティーニを二つ」と注文する。あれ？どうして二つ？

バーテンダーがチャチャッと作ってしまったマティーニの入ったグラスを、一つ女性は俺に渡してきた。

「出会えた記念に、私に一杯奢らせてください」

「あ、ありがとうございます……」

まるでギリシャ神話に登場する女神様だ。女性はカクテルにゆっくりと口をつける。その仕草からどこか妖艶で、俺は女性から目が離せない。

それから、カクテルを飲みながら二人で話をした。女性の名前はレイカさん。美人は名前まで綺麗なんだ。名は体を表すという言葉は彼女のために作られたんだろう、きっと。

レイカさんはとある会社の受付嬢をしているらしい。そりゃあ、こんなにも綺麗だもんな。こんな受付嬢がいたら、毎日仕事頑張れそうだな。うちの会社の受付嬢なんてブスばっかだから、その会社が羨ましいよ。