ねえ、私と恋しませんか？
レイカさんの高い声が一瞬にして低くなった。刹那、彼女は自分の髪を乱暴に掴む。レイカさんの綺麗な髪の毛がズルリと落ち、金髪の短い髪が現れた。

「お、お前男！？」

目の前にいたのは美女ではなく、男だった。男にしては可愛い感じの顔だが、まさかレイカさんが女装してた男だったなんて！

「俺、サトミの友達。サトミから頼まれてあんたを騙してたんだよね。諦めさせるために」

男はそう言った後、ショックで呆然とする俺に手紙を投げ付ける。それはサトミからだった。


「あんたは結局美人だったら、平気で浮気する最低男ってことね。別れましょう。さようなら。もう引っ越して職場も変えたから、もう二度と会わないと思うと清々するわ！」


手紙にはそう書かれていた。俺は慌てて男に訊ねる。

「お前、サトミの知り合いなんだろ？今サトミはどこにいるんだ？」

「はあ？教えるわけないだろ。俺にあっさり惚れた自分を恨めよ」

男は俺を軽蔑したように見ると、颯爽と部屋から出て行ってしまう。扉が閉まる音が、やけに大きく感じた。
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