全治三ヵ月
午前中は宮川さんからフロアの案内や、文房具、書類の場所なんかを教えてもらって時間が過ぎていった。
お昼は一緒に食べようと誘われ、近くのカフェへ。
たった数時間なのに、全てが新鮮で興味深い。これぞサラリーマン!って感じ。
それに、いつもお昼はまかないを食べてる私が、ランチにカフェだなんて。
私たちがあくせく働いている空間に、サラリーマン達は心のオアシスを求めにやってくるのね。
その立場になってみないとわからないことってたくさんある。
「御崎さんって、島崎部長とどういう繋がりでここへ?」
「え?」
カフェで頼んだパスタを口に頬張りながら、宮川さんが興味津々に尋ねてきたのでパスタを絡める手を思わず止める。
「島崎部長が、御崎さんのこと、今回急遽知り合いを数か月雇うことになったって言ってたので」
そっか。
本当の事情はややこしいから伝えてないんだ。っていうか言えないよね。
でも、どこで知り合ったかなんて言われたら困る。
「知り合いの知り合いが島崎部長だったんです。突然仕事がなくなって困ってたので相談したら島崎部長を紹介してもらって」
嘘……心の中で宮川さんに頭を下げる。
「そうなんだ。じゃ、島崎部長のことはあまり知らない?」
「はい」
宮川さんの表情が一気に和らいだ。
「島崎部長って、イケメンでしょう?」
「はい。あまり身近にいたことがないくらい」
「部長は、三十半ばに異例の速さで本部長にまで上り詰めて、今三十八歳ですけどまだ独身なんですよ」
三十八歳か。ってことは、私よりも十も年上。
若く見えるけど、悠よりも五歳年上なんだ。
悠も五年後には島崎部長みたいな風格と品性が出てくるのかな?
「独身なら、職場でもモテるんじゃないですか?」
「ええ、正直皆狙ってるっぽい」
「宮川さんも?」
宮川さんは「しー!」といって人差し指を立てて真っ赤になった。
かわいい。
「島崎さんと宮川さん、とても仲良しだしお似合いな気がします」
「そんなの絶対ないですよ!私は部長よりも一回りも年下だし、全く女性として見られてないですから」
そう言うと、少し寂しげに笑うと、小さな声で独り言のようにつぶやいた。
「それに......島崎部長には、忘れられない女性がいるらしいです」
「忘れられない女性?」
「はい、私も詳しくは知らないんですけど」
あんな非の打ちどころのない男性が忘れられない女性って、一体どんな人なんだろう。
なんとなく影があるような雰囲気を纏っているのは、その女性の存在のせいなのかな。
ふと、そんな気がした。
お昼は一緒に食べようと誘われ、近くのカフェへ。
たった数時間なのに、全てが新鮮で興味深い。これぞサラリーマン!って感じ。
それに、いつもお昼はまかないを食べてる私が、ランチにカフェだなんて。
私たちがあくせく働いている空間に、サラリーマン達は心のオアシスを求めにやってくるのね。
その立場になってみないとわからないことってたくさんある。
「御崎さんって、島崎部長とどういう繋がりでここへ?」
「え?」
カフェで頼んだパスタを口に頬張りながら、宮川さんが興味津々に尋ねてきたのでパスタを絡める手を思わず止める。
「島崎部長が、御崎さんのこと、今回急遽知り合いを数か月雇うことになったって言ってたので」
そっか。
本当の事情はややこしいから伝えてないんだ。っていうか言えないよね。
でも、どこで知り合ったかなんて言われたら困る。
「知り合いの知り合いが島崎部長だったんです。突然仕事がなくなって困ってたので相談したら島崎部長を紹介してもらって」
嘘……心の中で宮川さんに頭を下げる。
「そうなんだ。じゃ、島崎部長のことはあまり知らない?」
「はい」
宮川さんの表情が一気に和らいだ。
「島崎部長って、イケメンでしょう?」
「はい。あまり身近にいたことがないくらい」
「部長は、三十半ばに異例の速さで本部長にまで上り詰めて、今三十八歳ですけどまだ独身なんですよ」
三十八歳か。ってことは、私よりも十も年上。
若く見えるけど、悠よりも五歳年上なんだ。
悠も五年後には島崎部長みたいな風格と品性が出てくるのかな?
「独身なら、職場でもモテるんじゃないですか?」
「ええ、正直皆狙ってるっぽい」
「宮川さんも?」
宮川さんは「しー!」といって人差し指を立てて真っ赤になった。
かわいい。
「島崎さんと宮川さん、とても仲良しだしお似合いな気がします」
「そんなの絶対ないですよ!私は部長よりも一回りも年下だし、全く女性として見られてないですから」
そう言うと、少し寂しげに笑うと、小さな声で独り言のようにつぶやいた。
「それに......島崎部長には、忘れられない女性がいるらしいです」
「忘れられない女性?」
「はい、私も詳しくは知らないんですけど」
あんな非の打ちどころのない男性が忘れられない女性って、一体どんな人なんだろう。
なんとなく影があるような雰囲気を纏っているのは、その女性の存在のせいなのかな。
ふと、そんな気がした。