全治三ヵ月
「そんなことより、御崎さんはおいくつですか?私と近いんじゃないかしら」
宮川さんは気を取り直そうとするかのように私に笑顔を向ける。
「今二十八です」
「そうなんだ!私より年下かと思っちゃったけれど、二つもお姉さんなんですね!若く見えますよ~」
お世辞だろうけど、嬉しいこと言ってくれるよね。
「そんなことないです」と言いながらも、自然と頬が緩む。
「ご結婚は?って指輪してないからまだフリーですか?」
「えっと……」
こういう時、事実婚っていうのはやっかいだ。
「彼はいますけど、結婚はまだ……です」
間違ったこと言ってないよね。
それなのに、誰に対してなのかはわからない後ろめたい気持ちになる。
「彼氏いるんですね。いいなぁ。どんな人なんですかぁ?」
宮川さんは前のめりになり、目をキラキラさせた。
彼が調理人だという話をしたら、更に興味を持った様子で根ほり葉ほり聞いてくる。
今度絶対食べにいきます!だって。
素直でわかりやすい宮川さんのこと、嫌いじゃない。彼女にはきっと嘘はないはずだから。
こうして、私の期間限定サラリーマン生活が少しずつ始まっていった。
島崎さんに頼まれコピーをとったり、電話をかけたり、データを入力したり。
時には島崎さんの出張先に同行することもあった。
最初は、何がなんだかわからなかった仕事も、理解していくうちに段取りよく進められるようになっていき、
職場の皆から「もう何年も前から働いているみたい」なんて褒められ有頂天になる。
本当に職場の皆が親切で褒め上手。
宮川さん始め皆が、わからないことがあると嫌な顔一つせずとことん教えてくれた。
でも。
それは本当にたまたまだったんだ。
こんなにトントン拍子に進むこと自体がおかしいことで……。
宮川さんは気を取り直そうとするかのように私に笑顔を向ける。
「今二十八です」
「そうなんだ!私より年下かと思っちゃったけれど、二つもお姉さんなんですね!若く見えますよ~」
お世辞だろうけど、嬉しいこと言ってくれるよね。
「そんなことないです」と言いながらも、自然と頬が緩む。
「ご結婚は?って指輪してないからまだフリーですか?」
「えっと……」
こういう時、事実婚っていうのはやっかいだ。
「彼はいますけど、結婚はまだ……です」
間違ったこと言ってないよね。
それなのに、誰に対してなのかはわからない後ろめたい気持ちになる。
「彼氏いるんですね。いいなぁ。どんな人なんですかぁ?」
宮川さんは前のめりになり、目をキラキラさせた。
彼が調理人だという話をしたら、更に興味を持った様子で根ほり葉ほり聞いてくる。
今度絶対食べにいきます!だって。
素直でわかりやすい宮川さんのこと、嫌いじゃない。彼女にはきっと嘘はないはずだから。
こうして、私の期間限定サラリーマン生活が少しずつ始まっていった。
島崎さんに頼まれコピーをとったり、電話をかけたり、データを入力したり。
時には島崎さんの出張先に同行することもあった。
最初は、何がなんだかわからなかった仕事も、理解していくうちに段取りよく進められるようになっていき、
職場の皆から「もう何年も前から働いているみたい」なんて褒められ有頂天になる。
本当に職場の皆が親切で褒め上手。
宮川さん始め皆が、わからないことがあると嫌な顔一つせずとことん教えてくれた。
でも。
それは本当にたまたまだったんだ。
こんなにトントン拍子に進むこと自体がおかしいことで……。