全治三ヵ月
彼はいつも優しい。
その言葉が本音かどうかまではわからないけれど、私を怒らせるようなことは一度も言ったことがない。
逆に、彼がいつも本音を隠しているんじゃないかって、全ての言葉に不信感を持ってた時期もあったけど、今はそれも気にならなくなっていた。
これって成長っていうのかな。もしくは信頼関係?
駅までは老舗の店が軒を連ねる商店街が続き、踏切を渡る。
いつも開かずの踏切は、今日はすんなり通してくれた。
電車の窓の外に流れていく緑は青々としていて、こちらに「見て」と言わんばかりに手を振っている。
……おばあちゃん、大丈夫かな。
胸騒ぎってこういうのを言うのかもしれない。
理由もないのに、胸がざわつく感じ。最近、時々そんな風になる。
【今おばあちゃんのところに向かってる】
なんとなく一人で向かうことに不安が募り母にLINEを送ってみた。
すぐに返信。
【お母さんたちも今から行くところ。一緒に車で行こう。うちの駅に寄って】
母からの返信にホッとする。
病院より五つ手前の最寄り駅の改札を通り抜けた先にある駅前ロータリーに、既に父と母が車で迎えに来てくれていた。
「智~、久しぶりね。元気だった?」
「久しぶりって一ヵ月前に会ったよ」
「一ヵ月はお母さんには長いわ。おばあちゃんにはもっとね……さ、乗って」
ふぅっと短くため息をついた母は私の肩に手を置いた。
心なしか母の頬が少しこけたように見える。
入院している祖母のところに通っているせいなのかな。
「おばあちゃんはどう?」
「昨日LINEした通り。食がすっかり細くなってね。痩せていく一方よ」
前を向いて運転をしていた父がようやく口を開く。
「悠くんは元気かい?しばらく会ってないけど」
いつも父だけが悠のことを気にかけてくれていた。
「ああ、うん。元気だけど、休日はぐったり寝てるわ。今日も来たかったみたいだけど、疲れてそうだから敢えてお留守番をお願いした」
「そうか」
父はそれだけ言うと、黙った。
その言葉が本音かどうかまではわからないけれど、私を怒らせるようなことは一度も言ったことがない。
逆に、彼がいつも本音を隠しているんじゃないかって、全ての言葉に不信感を持ってた時期もあったけど、今はそれも気にならなくなっていた。
これって成長っていうのかな。もしくは信頼関係?
駅までは老舗の店が軒を連ねる商店街が続き、踏切を渡る。
いつも開かずの踏切は、今日はすんなり通してくれた。
電車の窓の外に流れていく緑は青々としていて、こちらに「見て」と言わんばかりに手を振っている。
……おばあちゃん、大丈夫かな。
胸騒ぎってこういうのを言うのかもしれない。
理由もないのに、胸がざわつく感じ。最近、時々そんな風になる。
【今おばあちゃんのところに向かってる】
なんとなく一人で向かうことに不安が募り母にLINEを送ってみた。
すぐに返信。
【お母さんたちも今から行くところ。一緒に車で行こう。うちの駅に寄って】
母からの返信にホッとする。
病院より五つ手前の最寄り駅の改札を通り抜けた先にある駅前ロータリーに、既に父と母が車で迎えに来てくれていた。
「智~、久しぶりね。元気だった?」
「久しぶりって一ヵ月前に会ったよ」
「一ヵ月はお母さんには長いわ。おばあちゃんにはもっとね……さ、乗って」
ふぅっと短くため息をついた母は私の肩に手を置いた。
心なしか母の頬が少しこけたように見える。
入院している祖母のところに通っているせいなのかな。
「おばあちゃんはどう?」
「昨日LINEした通り。食がすっかり細くなってね。痩せていく一方よ」
前を向いて運転をしていた父がようやく口を開く。
「悠くんは元気かい?しばらく会ってないけど」
いつも父だけが悠のことを気にかけてくれていた。
「ああ、うん。元気だけど、休日はぐったり寝てるわ。今日も来たかったみたいだけど、疲れてそうだから敢えてお留守番をお願いした」
「そうか」
父はそれだけ言うと、黙った。