全治三ヵ月
「店はどうなの?こないだ雑誌に紹介されたみたいだけど」
母が珍しく店のことを尋ねる。
「忙しいわ。サラリーマン以外のお客さんも増えてね。でも二人で切り盛りするのもそろそろ限界かも」
「アルバイトでも雇うの?」
「そうだね」
「アルバイトの給料は払えるの?」
母は露骨に眉をひそめて私に視線を向けた。
「払えるよ。結構儲かってるんだから」
「へぇ……、そうなんだ」
へぇ……の間に、『それなのに籍は入れないの?』っていう言葉が聞こえたような気がしたけれど、黙っていた。
「そろそろ着くよ」
微妙な沈黙を絶妙な間で破る父の声。
病院の入り口に車を停車すると、母と私が先に降りた。
日曜の病院は当然ながら静かで人もほとんどいない。
裏口から院内に入り、祖母が入院している五階までエレベーターで上がる。
四人部屋の一番奥の窓際に祖母のベッドがあった。
母が珍しく店のことを尋ねる。
「忙しいわ。サラリーマン以外のお客さんも増えてね。でも二人で切り盛りするのもそろそろ限界かも」
「アルバイトでも雇うの?」
「そうだね」
「アルバイトの給料は払えるの?」
母は露骨に眉をひそめて私に視線を向けた。
「払えるよ。結構儲かってるんだから」
「へぇ……、そうなんだ」
へぇ……の間に、『それなのに籍は入れないの?』っていう言葉が聞こえたような気がしたけれど、黙っていた。
「そろそろ着くよ」
微妙な沈黙を絶妙な間で破る父の声。
病院の入り口に車を停車すると、母と私が先に降りた。
日曜の病院は当然ながら静かで人もほとんどいない。
裏口から院内に入り、祖母が入院している五階までエレベーターで上がる。
四人部屋の一番奥の窓際に祖母のベッドがあった。