先輩が卒業するまでに(短編)


次の日

落ち込みそうになる気持ちを無理矢理ふっきって



家を出た。





だけど…

寒くてガチガチのまま
ゆっくり自転車をこぐ私は今日も遅刻してしまいそうだということに気づく。





冷たい風が前からふいて、私の肩はぎゅっと縮まる。





自転車置き場につくと、
初めて遅刻したあの日と同じように

辺りは静まり返っていた。



自転車を止めロッカーに向かおうとした時、

少し前を歩く後ろ姿に気が付いた。





江口先輩だ…!!!


先輩は寒そうに学ランのポケットに手を入れて

ゆっくり歩いていた。





誰もいない。



話しかけられるチャンスかもしれない!





私は高鳴る鼓動を必死に隠しながら

小走りで先輩の背中に近寄った。




『江口先輩っ…』





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