先輩が卒業するまでに(短編)
『ねえ、そういえば小林さんのことはどうなったの?』
「あ〜、不安だったからね、先輩に聞いたんだ。そしたらアドレスは聞かれたしメールもたまにくるけど…告白されても断るつもりだよって…」
由梨の赤らむ頬が可愛いと思った。
『そっかあ!よかったね。』
「うん…でも、小林さん可愛いし悪い子じゃないでしょ。だから小林さんの気持ちを考えるとちょっと複雑…。」
由梨は何も悪くないのに、申し訳なさそうな顔をした。
由梨は優しい子。
自分は川瀬先輩の彼女になれたのに、
先輩に恋する子の気持ちにまで気を向けてる。
私はそんな風になれない。
もし、本当に江口先輩に彼女がいるのなら
早く別れちゃえって思ってしまう。
もし、自分が彼女になれたら…
先輩に恋する子の気持ちなんか
考えもしないと思う。
なんだか、
由梨の優しさを見て、
川瀬先輩が由梨に振り向いた理由がわかった気がした。