先輩が卒業するまでに(短編)
月みたい
晴れ渡った空の下
今日は先輩の卒業式
ずっと大好きだった先輩
今日で先輩の学ラン姿も最後
会えるのもおそらく今日が最後
私は由梨と一緒に
卒業式をみに来ていた。
たくさん並べられたパイプ椅子
在校生が座るための場所で卒業生が入場するのを待つ。
体育館の中も寒くて
椅子に座るとお尻がひんやりとした。
「ねえ、ミキ。」
隣に座る由梨が静かに口を開く。
「川瀬先輩と江口先輩って……太陽と月みたいじゃない?」
『どっちが太陽でどっちが月??』
「川瀬先輩が太陽で、江口先輩が月!」
いきなり由梨が笑ってそんなこと言うから
私もおかしくなって笑った。
『え〜っ、どうして??』