先輩が卒業するまでに(短編)


江口先輩はメールをちゃんと返してくれる。


だけど受験生の先輩は忙しくて、いつもすぐにメールが終わってしまう。






それに先輩はモテるから、きっとたくさんの女の子が先輩のアドレスを知っていて、

先輩を振り向かせたい一心でメールしていると思う。




私は

そんな大勢の女の子の中の1人でしかないんだ。




川瀬先輩のように手を振ってくれるわけでもない江口先輩。



私は一度メールで聞いたことがある。


”私の顔、覚えてますか?“って。



私と同じように突然先輩に話しかけてアドレスを聞く女の子はいっぱいいる。



だから私がメールをしても私の顔をちゃんと知ってくれているのか不安になった。





「じゃあ何て返ってきたの??」

由梨が川瀬先輩を時折見つめながら聞いてきた。



食堂の端っこの席に座り、
遠くに見える江口先輩を見つめながら

由梨と親子丼を食べる。






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