先輩が卒業するまでに(短編)
でも、その噂を信じずにはいられないかのように
私は見てしまった。
まだまだ寒い冬の帰り道
江口先輩が
同じ3年の美人な先輩と
仲よさげに帰っているのを。
ショックで涙が出そうになる。
私は家に帰ると由梨に電話をかけた。
「もしもしっ。どしたの?ミキ。」
『由梨〜!どうしよう…もうかなりショックで泣きそう。』
私は帰り道に先輩が彼女らしき人といるのを目撃してしまったことを由梨に話した。
「そっか…。それは辛いね。でも……ミキ、本当のことは江口先輩にしかわからないじゃん。」
『そうだけど…。』
「江口先輩とその女の先輩、手とか繋いでたわけじゃないでしょ?」
『うん、手は繋いでなかったけど…』
「じゃあ、ただの友達かもしんないじゃん!大丈夫だって。ほら、江口先輩とか川瀬先輩って人気者だからいつも色んな女の人に話しかけられてるじゃん?」