非・溺愛宣言~なのに今夜も腕の中~
 一毬は叫びながら、再び寝具を引っ張り上げた。

「当たり前だろ? お前のあの油臭い服で、俺の大事な寝室を汚されてたまるか」

「はい?!」

「まぁ、安心しろ。昨夜は何もしてない。というか、お前がイビキかいて大の字で寝てたからな。何かしようにも……」

 男性はため息をつきながらそう言うと、一毬の顔をじっと覗き込む。

「それにしてもお前、よく人のベッドであそこまで、ぐっすり寝られるな。正直、感心するよ」

 男性は思い出し笑いするかのように、くくっと肩を揺らした。


「えぇぇ……」

 一毬は真っ赤だった顔を、今度は次第に青ざめさせる。

 そういえば、店長の後姿を見送ったのを最後に、昨日の記憶が全くないのだ。

 そして目覚めた時の、驚くほどすっきりとした爽快感。

 自分はもしかしたら、男性にひどく迷惑をかけてしまったのではないだろうか?
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