非・溺愛宣言~なのに今夜も腕の中~
 湊斗はにんまりと口元を引き上げた。

「ただ、爆睡してるだけですね、だと」


 ひぃぃぃ……、なんてこった。

 穴があったら入りたいとは、こういう時に使うのか。

 いやむしろ、穴に入って埋まってしまいたいと思える程だ。


「全く、俺も秘書も呆気に取られるしかなかったね。それで病院に、イビキかいてるお前を置いてくるわけにもいかず、今に至るってわけだな」

 湊斗の話に、一毬は白目を剥きながら天井を仰ぐ。

 人生最悪の日に、さらに最悪な恥を上塗りしてしまった。


 しばらく放心状態でフリーズしていた一毬は、急にはっと我に返るとベッドの上で正座をし、深々と頭を下げる。

「ほんっとうに、ご迷惑をおかけしました! このお詫びは、必ずさせて頂きます!」

 下着姿で土下座をするという、なんとも滑稽な一毬の姿を、湊斗は静かに眺めていたが、身を乗り出すとそっと一毬の顎先を持ち上げた。
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