非・溺愛宣言~なのに今夜も腕の中~
「湊斗さん、どうかしたんですか?」
首を横に振る一毬に、倉田は困ったように頭をかいている。
「湊斗がまだ戻らなくてさぁ。どこで道草食ってんだか」
倉田のため息交じりの声を聞きながら、一毬はもう一度スマートフォンに目線を落とした。
画面に映る時刻は、湊斗が会社を出てから、もうだいぶ時間が経っている。
資料の準備のことも考えると、あまり余裕はなさそうだ。
「何かあったんでしょうか……?」
眉を寄せた一毬の顔を見て、倉田は慌てて明るい笑顔になるとポンと一毬の肩を叩いた。
「ごめんごめん。もし見かけたら、すぐに研究室に行けって伝えてくれる?」
一毬は「よろしく」と軽く手を上げて去って行く倉田の後姿を、ぼんやりと見送った。
どこか不安な気持ちを抱えたまま、誰も乗っていないエレベーターに乗り込む。
一毬はスマートフォンを取り出すと、湊斗の番号を画面に表示させた。
何度か着信とメッセージを残すが、湊斗からは何も返答がない。
「どうしたんだろう……」
不安を抱えたままの一毬が1階に到着すると、外は大粒の雨が降り出していた。
首を横に振る一毬に、倉田は困ったように頭をかいている。
「湊斗がまだ戻らなくてさぁ。どこで道草食ってんだか」
倉田のため息交じりの声を聞きながら、一毬はもう一度スマートフォンに目線を落とした。
画面に映る時刻は、湊斗が会社を出てから、もうだいぶ時間が経っている。
資料の準備のことも考えると、あまり余裕はなさそうだ。
「何かあったんでしょうか……?」
眉を寄せた一毬の顔を見て、倉田は慌てて明るい笑顔になるとポンと一毬の肩を叩いた。
「ごめんごめん。もし見かけたら、すぐに研究室に行けって伝えてくれる?」
一毬は「よろしく」と軽く手を上げて去って行く倉田の後姿を、ぼんやりと見送った。
どこか不安な気持ちを抱えたまま、誰も乗っていないエレベーターに乗り込む。
一毬はスマートフォンを取り出すと、湊斗の番号を画面に表示させた。
何度か着信とメッセージを残すが、湊斗からは何も返答がない。
「どうしたんだろう……」
不安を抱えたままの一毬が1階に到着すると、外は大粒の雨が降り出していた。