非・溺愛宣言~なのに今夜も腕の中~
目の前の大きなガラス張りの窓には、強い雨風が叩きつけている。
夏の嵐の中、薄暗くなったエントランスを歩き受付へと向かった。
「あの、佐倉一毬です。先ほど内線を頂いて」
一毬が声をかけると、受付にいた二人の女性社員が「あぁ!」と立ち上がる。
そして後ろの棚から何か取り出すと、カウンターの上に置いた。
「これって……ノートパソコン……?」
このパソコンには見覚えがある。
というよりも、毎日目にしていた。
これは湊斗が取りに帰ったはずの、マンションに置いていたパソコンだ。
「これ、どうしたんですか?!」
一毬が慌てて詰め寄ると、女性社員は顔を見合わせている。
髪の長い方の女性が、一毬の様子を見ながら口を開く。
「それがね。どこかの運転手っぽい制服を着た男の人が、ずぶ濡れになりながら入ってきて。『ひまりって人に渡してくれ』って置いて行ったの」
――運転手?!
一毬の心臓がドキドキと叩くように音を立てる。
「引き止めたんだけど、自分はすぐに戻らなきゃいけないって、物凄い勢いで……。怖かったよね」
ショートカットの女性が横から声を出し、二人は怯えた顔を見合わせている。
夏の嵐の中、薄暗くなったエントランスを歩き受付へと向かった。
「あの、佐倉一毬です。先ほど内線を頂いて」
一毬が声をかけると、受付にいた二人の女性社員が「あぁ!」と立ち上がる。
そして後ろの棚から何か取り出すと、カウンターの上に置いた。
「これって……ノートパソコン……?」
このパソコンには見覚えがある。
というよりも、毎日目にしていた。
これは湊斗が取りに帰ったはずの、マンションに置いていたパソコンだ。
「これ、どうしたんですか?!」
一毬が慌てて詰め寄ると、女性社員は顔を見合わせている。
髪の長い方の女性が、一毬の様子を見ながら口を開く。
「それがね。どこかの運転手っぽい制服を着た男の人が、ずぶ濡れになりながら入ってきて。『ひまりって人に渡してくれ』って置いて行ったの」
――運転手?!
一毬の心臓がドキドキと叩くように音を立てる。
「引き止めたんだけど、自分はすぐに戻らなきゃいけないって、物凄い勢いで……。怖かったよね」
ショートカットの女性が横から声を出し、二人は怯えた顔を見合わせている。