非・溺愛宣言~なのに今夜も腕の中~
「いよいよね。この発表が大々的に取り上げられたら、話題になるわよぉ。湊斗社長じゃないのは残念だけど」

「……無事に発表できますかね」

「できるわよぉ。湊斗社長の原稿があるんだし。第一、ちゃんとやんなきゃ、菱山が許さないでしょ。あんなに開発を急かしてるんだから」

 吉田は手を腰に当てると、楠木に向かって身を乗り出す。

「菱山……ですか」

 楠木は吉田を横目で見ると、ふっと小さく鼻で笑った。


 吉田は首を傾げながら、「あ、そうそう」と声を出す。

「そういえば、佐倉さん知らない?」

「え? 彼女、どうかしたんですか?」

「受付に呼び出されてから戻って来ないのよね。どこ行っちゃったんだろ」

「受付……? どういうことですか?!」

 はっとした様子で腰を浮かせる楠木の前で、映像が動き出した。


「あ! 始まるわよ! 楠木くん、座って」

 吉田は楠木の前で手を下に振ると、強引に椅子に戻す。

 楠木は困惑した表情のまま、仕方なく腰を下ろすと再び画面を見つめた。
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