非・溺愛宣言~なのに今夜も腕の中~
呪いの正体
社長室のソファで、湊斗と向かい合って座る。
湊斗は両手の長い指を膝の前で組みながら、一つ息を吐くと一毬に顔を向けた。
「さっき、楠木が言ったことは本当だ。俺のせいで、菱山社長の娘、紫さんは事故にあった……」
一毬は息を飲む。
のどが詰まるように苦しくなり、言葉が出てこない。
一毬はただ固まったまま、湊斗の声が届くのを待った。
「数年前、うちの研究情報を手に入れた菱山社長が、突然研究費の援助をしたいと申し出てきた。莫大な資金がかかる研究開発にとって、安定的な資金の確保は絶大だ。老舗と言われるTODOであっても、それは例外ではない。会長である父は、すぐその話に乗った」
その後、菱山は資金援助をしていることを理由に、研究だけでなく製品開発にまで口を出すようになっていた。
その要望は日に日に大きくなり、そしてある日、湊斗と菱山の間で意見の対立が表面化する。
「菱山社長は、商社の強みを生かして、国内にとどまらず世界各国の病院に、検査機器を販売する計画だと言いだした。どれだけ高額だったとしても、この内容なら飛ぶように売れる、と」
湊斗は両手の長い指を膝の前で組みながら、一つ息を吐くと一毬に顔を向けた。
「さっき、楠木が言ったことは本当だ。俺のせいで、菱山社長の娘、紫さんは事故にあった……」
一毬は息を飲む。
のどが詰まるように苦しくなり、言葉が出てこない。
一毬はただ固まったまま、湊斗の声が届くのを待った。
「数年前、うちの研究情報を手に入れた菱山社長が、突然研究費の援助をしたいと申し出てきた。莫大な資金がかかる研究開発にとって、安定的な資金の確保は絶大だ。老舗と言われるTODOであっても、それは例外ではない。会長である父は、すぐその話に乗った」
その後、菱山は資金援助をしていることを理由に、研究だけでなく製品開発にまで口を出すようになっていた。
その要望は日に日に大きくなり、そしてある日、湊斗と菱山の間で意見の対立が表面化する。
「菱山社長は、商社の強みを生かして、国内にとどまらず世界各国の病院に、検査機器を販売する計画だと言いだした。どれだけ高額だったとしても、この内容なら飛ぶように売れる、と」