非・溺愛宣言~なのに今夜も腕の中~
「結婚のことは正直、私はどちらでもいいんですよ。見舞いだって、記憶喪失を理由に、紫が勝手に湊斗くんを呼び寄せているだけですからね」
「え……」
「私の一番の目的は、TODOの研究と新製品を手に入れることですよ。プレス発表会で世界に発信はできた。後はこちらの希望の製品を作ってもらうだけです。それを勝手にあんな発表をして、反旗を翻したのはTODOです。圭吾の仕事は、それを正すことじゃなかったでしょうかね? 自分の仕事をはき違えてもらっては、困るんですよ」
楠木は下を向くと拳をぐっと握り締める。
怒りで身体は震えていた。
「それは……僕が、コマだからですか?」
「はい?」
「僕が自由につかえるコマだから、あなたの良いように動けと言うんですか……?」
菱山は腕を組むとさらに目を細める。
しばらくその場には、重苦しい沈黙が流れた。
「一つだけ教えてください」
「なんでしょう?」
菱山がゆっくりと顔を上げる。
「紫は本当に、記憶を失くしているんですか……?」
緊張したような楠木の声に、菱山は目を細めたまま何も答えない。
「……わかりました」
楠木は深々と頭を下げると、そのまま菱山の顔を見ることなく背を向けた。
「え……」
「私の一番の目的は、TODOの研究と新製品を手に入れることですよ。プレス発表会で世界に発信はできた。後はこちらの希望の製品を作ってもらうだけです。それを勝手にあんな発表をして、反旗を翻したのはTODOです。圭吾の仕事は、それを正すことじゃなかったでしょうかね? 自分の仕事をはき違えてもらっては、困るんですよ」
楠木は下を向くと拳をぐっと握り締める。
怒りで身体は震えていた。
「それは……僕が、コマだからですか?」
「はい?」
「僕が自由につかえるコマだから、あなたの良いように動けと言うんですか……?」
菱山は腕を組むとさらに目を細める。
しばらくその場には、重苦しい沈黙が流れた。
「一つだけ教えてください」
「なんでしょう?」
菱山がゆっくりと顔を上げる。
「紫は本当に、記憶を失くしているんですか……?」
緊張したような楠木の声に、菱山は目を細めたまま何も答えない。
「……わかりました」
楠木は深々と頭を下げると、そのまま菱山の顔を見ることなく背を向けた。