非・溺愛宣言~なのに今夜も腕の中~
「ど……どうしたんですか?!」

 牧と倉田の目も気にせず自分を抱きしめる湊斗に、一毬は思わずジタバタと暴れてしまう。

 その様子に湊斗は声を上げて笑うと腕の力を弱め、一毬の腰に手を回したまま向き直った。

 そして、わけがわからずキョトンとしている一毬のおでこに、自分のおでこをコツンとぶつける。


「……呪いは、解けた」

 湊斗の低い声が、まるで体中に反響するように流れた。

「え……?」

 一毬は目を見開いたまま、しばらく息をするのも忘れて呆然とする。


 ――呪いが……解けた……?


 もう一度、湊斗の瞳をじっと見つめると、湊斗は優しくほほ笑んだまま、ゆっくりとうなずいた。

 その顔つきは、とてもすっきりとしていて晴れやかだ。

 昨日の今日で、こんなにも状況が変わることがあるのだろうか。

 今にも泣きだしそうな顔になった一毬は、もう一度湊斗の長い腕に包まれた。


「どういうこと?!」

 倉田がガタンと音を立てながら立ち上がり、驚きを隠せない顔つきの牧とともに近づいてくる。
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