非・溺愛宣言~なのに今夜も腕の中~
 今まで一度だって、目覚めた時に湊斗がベッドにいたことはなかった。

「本当に、呪いは解けたんだ……」

 胸がいっぱいになった一毬は、小さくつぶやくと、湊斗の艶のある黒髪にそっと触れる。

 その途端、また湊斗に抱きすくめられたのだ。


 一毬は今朝の出来事を思い出し、恥ずかしさで再び顔を真っ赤にした。

「わかるよ? ずっとお互いに想いを募らせてたもんね。でもさぁ、ちょっとは俺にも配慮してよね」

 倉田がふてくされるように口を尖らせる。

「しょうがないだろ。一毬を遼に近づけたくない」

「あのね! 誰のおかげで二人の心が通じたと思ってんの? 独占欲にも程があるでしょうよ」

 倉田の訴えるような顔に、湊斗はぷっと笑いをこらえきれない様子で吹き出した。

 あははと声を上げて笑いあう湊斗と倉田を眺めながら、一毬は湊斗が本当に前に進みだしたことを実感していた。


「今までの大型の機器用に開発していたものだと、コストもかかりすぎる」

「かといって、一から作り直すのは厳しいよね……」

 二人の話題は再び開発のことに戻った。
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