非・溺愛宣言~なのに今夜も腕の中~
やはり湊斗は研究者なのだろう。
倉田と話す姿は、本当に楽しそうで生き生きとしていた。
一毬は遠巻きに二人の会話を聞きながら、ふとドーナツ屋で働いていた時の事が頭に浮かぶ。
――私の経験なんて、参考になるかはわからないけど……。
一毬が「あの」と小さく声を出すと、湊斗は分厚い資料をめくっていた手を止め振り返った。
「既存の製品を使うことって、できないんでしょうか?」
「既存の部品ってこと?」
倉田が首を傾げる。
「はい。一から自社で作ったら大変だけど、既存のもので代用できる所はそれを使うんです。ドーナツ屋でも、トッピングする飾りの部分は、それを作る専門の業者のものを仕入れてました。自分たちで作ることもできるけど、その手間と人件費を考えると、仕入れた方が安いって、店長が……」
一毬はそこまで言うと、二人の顔つきを見て照れるように下を向く。
――ちょっと、安直すぎたかな……。
湊斗はじっと考え込むように眉間に手を当てていたが、しばらくして顔を上げた。
倉田と話す姿は、本当に楽しそうで生き生きとしていた。
一毬は遠巻きに二人の会話を聞きながら、ふとドーナツ屋で働いていた時の事が頭に浮かぶ。
――私の経験なんて、参考になるかはわからないけど……。
一毬が「あの」と小さく声を出すと、湊斗は分厚い資料をめくっていた手を止め振り返った。
「既存の製品を使うことって、できないんでしょうか?」
「既存の部品ってこと?」
倉田が首を傾げる。
「はい。一から自社で作ったら大変だけど、既存のもので代用できる所はそれを使うんです。ドーナツ屋でも、トッピングする飾りの部分は、それを作る専門の業者のものを仕入れてました。自分たちで作ることもできるけど、その手間と人件費を考えると、仕入れた方が安いって、店長が……」
一毬はそこまで言うと、二人の顔つきを見て照れるように下を向く。
――ちょっと、安直すぎたかな……。
湊斗はじっと考え込むように眉間に手を当てていたが、しばらくして顔を上げた。