非・溺愛宣言~なのに今夜も腕の中~
「じゃあ、行ってくる」
「お気をつけて」
「先方によろしくな!」
一毬は湊斗とともにタクシーに乗り込むと、手を振る二人に見送られ出発した。
「ほんっと羨ましいなぁ」
倉田は振った両手を上げたまま、しみじみとつぶやく。
「まぁ良いじゃないですか。この新製品は、社長と佐倉さんの、愛の結晶みたいなものですから」
「俺だって、なかなかの功労者だと思うんだけど!」
倉田は口を尖らせていたが、急に笑顔になると牧を振り返った。
「じゃあ、牧さん。今日は俺と二人で祝杯ってことで!」
「いえ、お断わりします」
「なにそれ……断るの早すぎない?!」
だんだんと小さくなっていくタクシーを見つめながら、倉田と牧の明るい笑い声は空高く響いていた。
「わぁ、海の匂いがします」
タクシーを降りた途端、一毬の前を今までの都会の空気とは一変した潮風が心地よく吹き抜ける。
「あれがこれから乗る船だ。一毬は、船旅は初めてか?」
「そうなんです。すごく立派な船でびっくりしました」
一毬は目を丸くすると、目の前に停泊している7階建てはあろうかという大型の船を見上げる。
今回納品する診療所がある島に飛行場はないため、フェリーに乗っての移動になるのだ。
「お気をつけて」
「先方によろしくな!」
一毬は湊斗とともにタクシーに乗り込むと、手を振る二人に見送られ出発した。
「ほんっと羨ましいなぁ」
倉田は振った両手を上げたまま、しみじみとつぶやく。
「まぁ良いじゃないですか。この新製品は、社長と佐倉さんの、愛の結晶みたいなものですから」
「俺だって、なかなかの功労者だと思うんだけど!」
倉田は口を尖らせていたが、急に笑顔になると牧を振り返った。
「じゃあ、牧さん。今日は俺と二人で祝杯ってことで!」
「いえ、お断わりします」
「なにそれ……断るの早すぎない?!」
だんだんと小さくなっていくタクシーを見つめながら、倉田と牧の明るい笑い声は空高く響いていた。
「わぁ、海の匂いがします」
タクシーを降りた途端、一毬の前を今までの都会の空気とは一変した潮風が心地よく吹き抜ける。
「あれがこれから乗る船だ。一毬は、船旅は初めてか?」
「そうなんです。すごく立派な船でびっくりしました」
一毬は目を丸くすると、目の前に停泊している7階建てはあろうかという大型の船を見上げる。
今回納品する診療所がある島に飛行場はないため、フェリーに乗っての移動になるのだ。