非・溺愛宣言~なのに今夜も腕の中~
「年寄りの、寄り合い所になっとるからなぁ」

 沖村さんはそう言うと、診療所にいる人々と楽しそうに話を始める。

 きっと島の人たち一人一人が知り合いなのだろう。

 すると診察室の奥から、白衣の袖を腕まくりした姿の宮脇が、汗をかきながら現れた。


「いやぁ、遠いところすみません。まさか社長さんが直々に来られるなんて、思ってもみなくて。せまっ苦しいですが、どうぞどうぞ」

 やはり豪快に笑う宮脇に案内されて、診察室の奥のテーブルが置いてあるスペースに案内された。

 隣は処置室のようで、点滴を受けながら看護師と楽しそうに笑う年配の女性の姿が、カーテン越しに見える。


「都会の病院とは全然違うでしょう?」

 宮脇は麦茶の入ったコップを机に置きながら、あははと笑った。

「うちの規模だと、大きな検査機器は置けなくて、簡易検査だけで、隣の島の規模の大きい病院へ送る、ってのが常なんです。でも船での移動になるし、みんな高齢だからね」

「そうだったんですね」

「だからTODOさんのプレス発表を見た時は『これだ!』って思いましたよ。絶対に導入したいってね」
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