非・溺愛宣言~なのに今夜も腕の中~
 一毬は朝食にしてもいいように、ドライフルーツをふんだんに使ったヘルシーな焼きドーナツを作ることにした。

 幸いこの高級マンションのシステムキッチンは、オーブンなどの調理器具はすべてそろっている。

 鼻歌を歌いながら夢中で手を動かし、完成した頃には夜も遅い時間になっていた。


 一毬は出来立てのドーナツをお皿に盛りつけると、ラップをかけてダイニングテーブルの真ん中に置く。

「まだ帰ってこないのかな」

 スマートフォンを確認したり、なんとなく玄関を見に行くが、それでも湊斗が帰宅する様子は一切なかった。

 一毬は広すぎるリビングに置いてあるソファの端にちょこんと座ると、完成したドーナツを一つ口に運ぶ。

 そわそわと落ち着きがないまま時間が過ぎ、時計の針が日付をまたいだ頃、シャワーを浴びるため浴室へと向かった。
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