非・溺愛宣言~なのに今夜も腕の中~
 一毬は湊斗の言葉に、驚いて目を丸くする。

「……本当ですか?」

「もちろん」

 湊斗はニッコリとうなずいている。

「湊斗さんに、そう言って頂けると、すごく嬉しいです」

 一毬は目を輝かせながら元気いっぱいに笑顔を見せた。

 その笑顔に、湊斗はドキッとしたような表情をする。


「そういや……昨日は悪かったな。予想以上に遅くなって」

 湊斗は慌てて顔を逸らすと、照れたように頭に手をやった。

 一毬は書類を抱きしめながら、大きく首を横に振る。

「ドーナツ、食べてくださって嬉しかったです。私、湊斗さんが帰ってらしたの、全然気がつかなくって……」

 一毬がそこまで言った所で、湊斗が「ん?」と首を傾げる。


「え?」

 一毬もつられるように首を傾げた。

「お前、昨夜(ゆうべ)のこと覚えてないのか?」

「え……? え?! 何のことですか?!」

 驚いて詰め寄る一毬に、湊斗が心底大きなため息をつく。
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