非・溺愛宣言~なのに今夜も腕の中~
吉田は肩をすくめると、そっと口元に手を当て、一毬の耳元で小声でささやいた。
「会長?」
「知らない? 前社長、つまり湊斗社長のお父さんだね」
「へえ……」
一毬は思わず声を漏らす。
そういえば、今まで湊斗から会長の話はもちろん、家族の話は聞いたことがなかった。
――そうか、湊斗さんが三代目ってことは、お父さんは二代目。今は会長になってるんだ……。
一毬は自分のデスクの前に来ると、一番下の引き出しを開き鞄をしまい、パソコンの電源を入れる。
吉田は話し足りないのか、空いている一毬の隣の席に腰かけた。
「新製品の研究・開発って多額の資金が必要なんだけど、それを援助してくれてる企業があってね。そこの社長が定期的に視察に来るんだよ。新製品の進捗の確認ってやつ? だから今日は社長も含めて、みんなピリピリムードなの」
吉田は得意げに鼻先を上に向けている。
「会長?」
「知らない? 前社長、つまり湊斗社長のお父さんだね」
「へえ……」
一毬は思わず声を漏らす。
そういえば、今まで湊斗から会長の話はもちろん、家族の話は聞いたことがなかった。
――そうか、湊斗さんが三代目ってことは、お父さんは二代目。今は会長になってるんだ……。
一毬は自分のデスクの前に来ると、一番下の引き出しを開き鞄をしまい、パソコンの電源を入れる。
吉田は話し足りないのか、空いている一毬の隣の席に腰かけた。
「新製品の研究・開発って多額の資金が必要なんだけど、それを援助してくれてる企業があってね。そこの社長が定期的に視察に来るんだよ。新製品の進捗の確認ってやつ? だから今日は社長も含めて、みんなピリピリムードなの」
吉田は得意げに鼻先を上に向けている。