非・溺愛宣言~なのに今夜も腕の中~
「主に作ってるのはさ、体内にいる菌やウイルスを検査する機械のことなの」

「風邪とかってことですか?」

 一毬が首を傾げると、倉田は大きくうなずく。

「感染が疑われる症状が出た時って、喉とか鼻に綿棒入れて検査したりするでしょ? あの綿棒に付着したものの解析っていえばわかる?」

「あぁ!」

 それだったら馴染みがある。

 一毬は病院で見たことのある光景を思い出し、思わず声を出した。


「今研究開発してるのはね、それの次世代版って言ったらいいかなぁ」

「次世代版?」

「今まで検査機器って二種類あったんだ。正確性は95パーセント以上で微量のウイルスでも検出できるけど時間がかかるものと、短時間で検出できるけど正確性は劣って一定数以上のウイルスがないと判定できないもの」

 話を聞きながら一毬は首を小さく傾げた。

「ん? なんだか、その中間が欲しい感じですね……」

 倉田は目を輝かせると、人差し指をピンと立て、一毬の鼻先に向ける。

「そう! まさにそれなんだよ!」
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