非・溺愛宣言~なのに今夜も腕の中~
 一毬は倉田の勢いに押され、思わず後ろにのけぞった。

「それが、できたってことですか?」

 倉田は腰に手を当てて自信満々に大きくうなずく。

「微量のウイルスでも検出できる上、一度に判定できる菌やウイルスの種類も格段に増えた。その正確性も98パーセントを誇ってる。それを今までの1/100の時間で判定できるようになったんだよ」

「ひゃ、百分の一ですか?!」

 それがどれ程の時間なのかはわからないが、とにかく性能が格段に上がっていることだけは一毬にも伝わった。


「つまり病院に来た時点で、即診断して治療を開始できるってことなんだよね」

 倉田の話を聞きながら、一毬は思わず声を漏らす。

 この検査機器が完成して、多くの病院で使えるようになれば、患者さんの苦しんでいる時間を少しでも短くすることができるのだろう。


「倉田さんって、凄い方なんですね……」

 しみじみと声を出した一毬に、倉田は大きく首を横に振る。

「すごいのは俺じゃないんだよ。この研究はね、湊斗のアイディアから生まれたんだ」
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