非・溺愛宣言~なのに今夜も腕の中~
湊斗は脇に置かれたサンドを見ると、驚いた様子で目線を上げた後、ほほ笑んでそのままトレーに手を伸ばす。
一毬はにんまりと口元を引き上げると、ダイニングテーブルにつき、自分も大きな口でほおばった。
『湊斗に優しくしてあげてよね』
もぐもぐと口を動かしながら、倉田の言葉がちらちらと頭をよぎる。
眠りの呪いのことも、結婚話のことも、聞きたいことは山ほどあった。
それでも一毬は、いまだに何一つ聞けていない。
――今は一番忙しい時期だもん。きっとまだ、聞くなってことだよ。
一毬はそう自分に言い聞かせる。
でもそれは、どこかでこの生活を手放したくないことへの、言い訳のような気もしていた。
――気分転換に、ドーナツでも作ろうかな。
ランチの後、ぼんやりとスマートフォンを眺めていた一毬は、よしっと勢いよく立ち上がる。
そして腕まくりをすると、早速キッチンでドーナツ作りを始めた。
やっぱりこうやって夢中で手を動かしていると、無心になれる。
一毬はにんまりと口元を引き上げると、ダイニングテーブルにつき、自分も大きな口でほおばった。
『湊斗に優しくしてあげてよね』
もぐもぐと口を動かしながら、倉田の言葉がちらちらと頭をよぎる。
眠りの呪いのことも、結婚話のことも、聞きたいことは山ほどあった。
それでも一毬は、いまだに何一つ聞けていない。
――今は一番忙しい時期だもん。きっとまだ、聞くなってことだよ。
一毬はそう自分に言い聞かせる。
でもそれは、どこかでこの生活を手放したくないことへの、言い訳のような気もしていた。
――気分転換に、ドーナツでも作ろうかな。
ランチの後、ぼんやりとスマートフォンを眺めていた一毬は、よしっと勢いよく立ち上がる。
そして腕まくりをすると、早速キッチンでドーナツ作りを始めた。
やっぱりこうやって夢中で手を動かしていると、無心になれる。