非・溺愛宣言~なのに今夜も腕の中~

突然の告白

「佐倉さん、ランチ一緒にどう?」

 ぼんやりと週末のことを思い出していた一毬は、急に聞こえた声にびくっと肩を動かした。

 見ると楠木が横から笑顔で顔を覗き込んでいる。

 慌てて壁にかかった時計に目を向けると、針はもうとっくに休憩時間を指していた。

 一毬は楠木に小さくうなずき返すと、急いで引き出しからお財布を取り出した。


 最近は楠木と一緒に、ランチに出ることも多くなっている。

 楠木はストレートな見た目の通りグルメ派のようで、会社の周辺のおいしい店をよく知っていた。

 社食ではなく外に出る日は、たいてい新しく見つけたおススメの店に連れて行ってくれるのだ。


 エレベーターを降り楠木の隣を歩きながら、ゆっくりとエントランスをぬける。

 一歩建物の外に出ると、急に強い日差しが全身を照りつけた。

「今日は新しくできた、イタリアンのお店に行ってみようか?」

 一毬は額に手でひさしを作りながら、楠木の声に曖昧に相槌をうつ。
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