ワスレナグサ
引っ越し
‐「あーちゃん、これ、重いよ…」

引っ越しの最中、輝月(きつき)はブツブツと文句を言っている。

「この軟弱者!
電子レンジ1つで文句言わない」

星(あかり)は軽く輝月を睨む。

「だってぇ…」

泣きそうになる輝月に星はため息をつく。

輝月は昔から力がない。
電子レンジくらいなら星の方が軽々と持てる。

星と輝月は年齢が4歳離れていて、輝月は現在18歳、星は22歳。
歳が離れているので、輝月は昔から星を姉のように慕っていた。

だけどいつからか輝月の中で、星は姉ではなく、大切な女性になっていた…。

一方、星は輝月の気持ちに気付かず、中学生の時も高校生の時も彼氏がいた。
…と言うか、途切れた事がなかった。
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