スパダリ御曹司のお相手が、私でいいのでしょうか?~一晩だけのはずが溺愛が終わりません~
プロローグ
「んっ……!」
都内の一等地にあるハイエンドホテルの三十二階からは、あらゆる宝石をかき集めたような綺麗な夜景が見えた。
贅沢の限りを尽くした豪奢なスイートルームにはキングサイズのベッド、アンティークの調度品、高級ブランドのアメニティ。
女性なら一度は泊まってみたいと夢見る空間で、光莉は愉悦に耐えていた。
大きな窓から見える素敵な夜景に見惚れていられたのは入室した最初の時だけ。シャワーを済ませ、ベッドに組み敷かれた今となっては、周囲に注意を払う余裕はなかった。
「瀧澤専務……!あ、の……!」
気を抜くと自分のものとは思えない鼻にかかった甘ったるい声ばかりが口から飛び出してしまう。これ以上、聞くに堪えない嬌声で瀧澤の耳を汚していくことに耐えられそうにない。
「名前で呼んでくれ」
「ひ、久志さん……?」
名前で呼ぶと瀧澤は嬉しそうに光莉の唇を塞ぎ、そのまま口内に舌を滑り込ませた。逃げる光莉を追いかけるように舌が絡まり、何度も往復する。はあっと熱い吐息がこぼれた。キスしかしていないのにのぼせたように頭がぼうっとする。
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