スパダリ御曹司のお相手が、私でいいのでしょうか?~一晩だけのはずが溺愛が終わりません~

「あ、の……。瀧澤専務?」

 光莉は試着室から慄きながら瀧澤の名前を呼んだ。
 瀧澤に連れてこられたのは『fairy』というブランドショップだった。
 店の奥にある可愛い個室に案内された二人の元には、次々とドレスが持ってこられる。

「こ、こんなに肩と背中が開いた服なんて着られませんよ!日焼けの跡も見えちゃうし……」

 屋外でテニスをすると、日焼けは切っても切り離せない。いくら日焼け止めを塗ってもすぐに汗で流れてしまう。露出の多いドレスは必然と日焼けの跡が露になり、境目が見苦しかった。

「気にすることはないと思うがな。どれも似合っている」

 気にするなと言われても気になるものは気になる。
 沢山の素敵なドレスがある中、テニスで鍛えた肩幅のせいで、華奢なドレスはどれもサイズオーバーなことも恥ずかしさに拍車をかけていた。
 
「では、こちらのドレスは?」

 瀧澤から渡されたのはレモンイエローのゴージャスなドレスだった。
 早速試着してみて鏡に映った自分をあちこち観察する。
 レースの七分袖とボートネックのおかげで日焼けも見えない。
 気になっていた肩幅もさほど気にならない。
 顔が明るく見えるし、健康的な肌色に合っていた。
 ドレスに合わせ首にはパールのネックレスをあしらってみる。

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