スパダリ御曹司のお相手が、私でいいのでしょうか?~一晩だけのはずが溺愛が終わりません~
パーティーの当日、瀧澤が光莉のアパートまでハイヤーで迎えに来てくれた。
立派なタキシードを着た瀧澤の男ぶりが眩しくて直視できない。
額に溢れ落ちた黒髪が掻き上げられると、えもいわれぬ色気がたちこめ背中がゾクゾクした。
かっちりしたスーツ姿もいいが、スポーティなウェアだってめちゃくちゃ似合う。もはや着こなせない服はないのでは?
光莉を乗せるとハイヤーはヘアサロンに向かった。ヘアサロンで改まって髪を整えてもらうなんて成人式以来でドキドキする。
ドレスに合うように、メイクはほんのり濃い目にしてもらう。目にはくっきりとしたアイライン、まつ毛にはマスカラ、唇はぷるんと瑞々しく仕上げてもらった。
髪は編み込んでうなじを見せ、サイドは緩く巻いて後毛を少しだけ出す。
プロの手によりいつもより垢抜けてちょっとセクシーな感じになった。
「お待たせしてすみません」
「……驚いたな。ヘアメイクひとつでこうも変わるとは……」
瀧澤は感心したように、口元に手をやり低く唸った。
光莉は心の中で弁解した。
(違うんです。いつも化けていないわけではないんです……。汗で流れてほぼすっぴんになるだけなんです……!)