スパダリ御曹司のお相手が、私でいいのでしょうか?~一晩だけのはずが溺愛が終わりません~

 ダブルスを組むということが決まったら、なにはともあれ練習計画を立てなければならない。
 自分のコンディションはともかく、瀧澤の腕前は未知数だ。ましてや相手は長年、夫婦でダブルスを組み都の大会で優勝するほどの実力者。
 あまりに下手くそなプレーを見せてがっかりさせてはまずかろう。
 光莉はこれでもアスリートの端くれだ。投げやりな勝負には最初から挑みたくない。接待だからと露骨に手を抜きたくないし、出来れば善戦したい。

(もし、接待が上手く行かなくて契約が締結できなかったら……)

 うっかり最悪の想像をしてしまって、ブルリと身震いする。今や光莉の肩にはTAKIZAWAの社員の命運までもが託されていた。

(とにかくやるしかない!)

 光莉は持ち前の集中力を発揮し、余計な雑念を振り払った。今はとにかく時間がない。

「どれくらい練習に時間を取れそうですか?」
「時間は都合をつける。どうしても外せない出張や会食以外は練習を優先する」
 
 それはありがたい話だ。少しハードだが、土日に加え平日も練習につぎ込まなければとても接待に間に合わないだろう。

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