スパダリ御曹司のお相手が、私でいいのでしょうか?~一晩だけのはずが溺愛が終わりません~
「いいか?車の中で大人しくしていろ」
「わかった」
「絶対にだぞ?」
「わかってる」
久志は光莉のアパート近くのコインパーキングに車を止め、車の中にいるよう露希に何度も念押しした。
いくらなんでも直接会わせるわけにはいかず、久志は苦肉の策を講じ、車の窓から光莉の姿を見せることにしたのだ。
このコインパーキングは光莉の部屋の玄関ドアがちょうど見える位置にある。
久志は露希を車に残し、光莉の部屋のインターフォンを押した。
「夜分遅くに訪ねてきてすまない」
「いえ、平気です」
Tシャツにカーディガンを羽織ったラフな部屋着姿の光莉は、床に置いてあった紙袋を手に取った。
「昨日クリーニングから戻ってきたばかりで良かったです。あの、私からも妹さんに謝罪させてもらえませんか?新品のお洋服を先に着てしまったのは私ですし……」
「その必要はない」
露希の服が入った紙袋を受け取った久志は強い口調で光莉の要望を退けた。