スパダリ御曹司のお相手が、私でいいのでしょうか?~一晩だけのはずが溺愛が終わりません~
露希に連れてこられたのは、自宅と思しき低層マンションの一室だった。
瀧澤家の御令嬢とあって部屋の中はTAKIZAWAのインテリア一色だった。カタログの撮影もぜひお願いしたいくらいだ。
露希は高級ブランドのショールームのようなウォークインクローゼットを開けると、長椅子の上にポイポイと服を積んでいった。
「もう着ないから、光莉にあげるわ」
「え!?」
(この量!?)
一着や二着ならともかく、どう見ても二十着はある。光莉が呆気に取られている間にその数は増えていくばかりだ。
「こんなにもらえません!」
「光莉が着ないなら捨てる」
申し出を断ると無情に焼却を言い渡され、貧乏性の血が騒ぐ。
山盛りになっていた服の中から、光莉でも着られそうなものを試着していくことにした。残念ながらボトムスは足の長さが違うのでお返しすることになったのだ、スカートとトップスはどれも着心地がよく、光莉も気に入った。
「光莉は鎖骨が綺麗だからデコルテをもっと出しなさい」
大きな姿見の前で着こなしのアドバイスをもらっていく。本当にプロみたいだ。
スタイリング講座が終わった後は、ヘアメイク講座に突入する。
「メイクポーチの中を見せてごらんなさい」
露希は光莉のメイクポーチを容赦なく逆さに振った。出るわ出るわ。光莉のズボラの縮図のようなメイク道具達に、露希の眉がつり上がっていく。