スパダリ御曹司のお相手が、私でいいのでしょうか?~一晩だけのはずが溺愛が終わりません~

 金曜の夜、仕事帰りにテニスをする約束をしていた光莉はテニスバッグを背負い、レンタルテニスコートにやって来た。
 更衣室で着替えを済ませクラブハウスの前で瀧澤と合流し、一時間ほど二人で健康的な汗を流す。帰りはいつものようにアパートまで送ってもらうその車中、瀧澤は露希との外出について尋ねてきた。

「露希が何か失礼なことをしでかさなかったか?」
「あ、いえ!全然!コラボカフェにご一緒できて楽しかったです」

 カフェ代を払うつもりだったのに、「私が誘ったんだから、私が払うのが当然でしょ?」と言われ、奢ってもらってしまった。きっぷのいい姉御肌の露希の行動はある意味気持ちいい。光莉は置いていかれないようついていくばかりだ。

「露希は昔から好き嫌いが極端で、友人が少ないんだ。出水さんさえよければ、これからも仲良くしてやってくれ」
「はい、こちらこそ!」

 瀧澤に話せたのはここまで。余計な心配をさせないためにも、露希のマンションで美のなんたるかを指導された件については内緒にしておこう。

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